レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「わかりました。パーカー、協力なさい」
「かしこまりました」

 捜査員が屋根裏部屋に入り、指紋をとったり、侵入経路を確認したりしている間に、再び図書室にマクマリー邸に仕えている使用人が集められた。

 今度はエリザベスは同席しなかった。身近に仕えているパーカーやマギーならともかく、それ以外の使用人は、エリザベスが側にいては緊張して話もできないだろう。

 それに警察が来ていようがいなかろうが、エリザベスの日常は変わらない。落ち着かないからさすがに仕事は最低限にしたものの、仕事場の整理をして時間をつぶす。

「そう言えば……」

 棚の中身を全て出し、中を拭いて戻す。それを繰り返しながらエリザベスは考え込んだ。

「窓ガラスが割れるような音を聞いたんだっけ……」

 自分の家ならば、誰か駆けつけるだろうと思って寝たままだったのは失敗だった。後悔しても遅いのはよくわかっているし、誰も気がつかなかったらしいから――広い屋敷だから無理もないのかもしれないが。
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