レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「そ、そんなわけじゃないわよっ……盗まれたと思うと腹がたつだけっ」
つんと顔をそらして、エリザベスは声高に命じた。
「お茶ちょうだい!」
今日はきっと濃いめのお茶にミルクと砂糖か蜂蜜をたっぷり入れて飲みたい気分だろう。そう予想したパーカーがワゴンを押して居間に戻ってくると、エリザベスは再びソファにひっくり返っていた。
「お嬢様、スカート!」
目を離すとすぐこれだ。
ため息をつきながらパーカーがお茶をいれると、座りなおしたエリザベスはカップを受け取った。
じっとりとした目で、上目遣いにパーカーを睨みつける。
「どうしてマギーにトランクを持ってくるようになんて言ったのよ。旅行の予定なんてしばらくないじゃない」
エリザベスがそう言うことなど、パーカーにはお見通しだった。すました顔で、エリザベスの前にクッキーの載った皿を置く。
「レディ・メアリのお言いつけです、お嬢様」
「メアリ叔母様が?」
「しばらくレディ・メアリのお屋敷に滞在なさるように、とのことでした。招待状は省略、とのことでしたので」
つんと顔をそらして、エリザベスは声高に命じた。
「お茶ちょうだい!」
今日はきっと濃いめのお茶にミルクと砂糖か蜂蜜をたっぷり入れて飲みたい気分だろう。そう予想したパーカーがワゴンを押して居間に戻ってくると、エリザベスは再びソファにひっくり返っていた。
「お嬢様、スカート!」
目を離すとすぐこれだ。
ため息をつきながらパーカーがお茶をいれると、座りなおしたエリザベスはカップを受け取った。
じっとりとした目で、上目遣いにパーカーを睨みつける。
「どうしてマギーにトランクを持ってくるようになんて言ったのよ。旅行の予定なんてしばらくないじゃない」
エリザベスがそう言うことなど、パーカーにはお見通しだった。すました顔で、エリザベスの前にクッキーの載った皿を置く。
「レディ・メアリのお言いつけです、お嬢様」
「メアリ叔母様が?」
「しばらくレディ・メアリのお屋敷に滞在なさるように、とのことでした。招待状は省略、とのことでしたので」