レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「お嬢様、何をお考えですか?」
「まだ、言えない。考えがまとまっていないの」

 エリザベスは、図書室に家にあるだけの古新聞を運び込ませて、順番にたどり始めた。あとははさみに、糊に、ノート。ペンとインクもだ。

『フォー・レディース』は却下。メイドのしつけ方だの、上手な衣服の仕立て直し方だのがメインの新聞で、エリザベスの探している情報が含まれているとは考えられない。

『エブリー・ニュース』を広げて、エリザベスは一つ一つ記事に目を通し始めた。

「……盗難って案外多いのね。一週間前、三週間前……その前はひと月半前ね」

『エブリー・ニュース』には、不確実な情報は掲載されない。どこの誰の家に強盗が入り、品が盗まれた。先祖代々伝わる品、あるいは購入したばかりの骨董品などと書かれているが、聖骨の有無まではわからなかった。奇跡を起こす骨なんて存在するのか否かも疑わしいのだから。
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