レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
 レディ・メアリに呼ばれた仕立屋と話をするとなると、自分の屋敷に呼んだ時と比較して、二倍以上の時間がかかることもしばしばある。

 そんなわけでレディ・メアリにファッションチェックをされても困らないように、 晩餐会用のドレスも、最新流行と仕立屋が言ったものを金銭を惜しまず用意していた。

 足りない、などということになったらレディ・メアリが嬉々として仕立屋を呼ぶのは目に見えているからだ。

 レディ・メアリの招待から三日で品をそろえたのは、仕立屋とパーカーの意地だったりする。

 待ち構えていたレディ・メアリが真っ先にやったのは、荷ほどきされた衣類のチェックだった。

「とりあえず合格ね。この晩餐会用のドレスは新しく仕立てたのかしら?」
「……ええ、新しいドレスは必要でしょう?」

 やれやれ、とエリザベスは叔母に気づかれないようにため息をついた。叔母の家に滞在するのはいいのだが、毎回これを乗り越えなければならないのだ。
< 57 / 251 >

この作品をシェア

pagetop