レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
ラティーマ大陸での生活を、エリザベスは一つ一つ語る。リチャードはそれに口を挟むことなく耳を傾けていた。
「リズお嬢さん――じゃなかった、お嬢様! そろそろお戻りくださーい!」
遠くからマギーが手をふる。
「行きましょうか?」
リチャードが手を差し出す。エリザベスはその手を自然に借りて、そして気がついた。しゃべっていたのは彼女だけだったということに。
◆ ◆ ◆
ヴァルミア伯爵家での滞在を終えて自分の屋敷へ戻ってくると、パーカーが出迎えてくれる。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「警察から連絡はあったのかしら?」
急ぎ足に玄関ホールを横切りながらエリザベスはたずねた。持ち帰ってきた荷物の片づけは、全てマギーがやってくれるからこのまま仕事場にしている書斎に入るつもりだ。
後を追いかけてきたパーカーが、エリザベスが放り出した帽子を慌てて受け止めた。
「リズお嬢さん――じゃなかった、お嬢様! そろそろお戻りくださーい!」
遠くからマギーが手をふる。
「行きましょうか?」
リチャードが手を差し出す。エリザベスはその手を自然に借りて、そして気がついた。しゃべっていたのは彼女だけだったということに。
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ヴァルミア伯爵家での滞在を終えて自分の屋敷へ戻ってくると、パーカーが出迎えてくれる。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「警察から連絡はあったのかしら?」
急ぎ足に玄関ホールを横切りながらエリザベスはたずねた。持ち帰ってきた荷物の片づけは、全てマギーがやってくれるからこのまま仕事場にしている書斎に入るつもりだ。
後を追いかけてきたパーカーが、エリザベスが放り出した帽子を慌てて受け止めた。