レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
「まだ、捜査はそれほど進んではいないようですよ。何の連絡もありません」
「まあ、怠慢ね!」

 エリザベスは眉をつり上げ――そして、ふんと鼻を鳴らすと足音高く仕事部屋へと入っていった。

 レディ・メアリの目を盗んで仕事をしていたとはいえ、一週間も留守にしていれば手をつけられなかった仕事がそれなりにたまっている。

 何とか目途をつけた頃には、夕食の時間になっていた。
 
「パーカー。ちょっといいかしら? あのね、アンドレアス商会のアンドレアスってどんな男? あなたの目から見てってことだけど」

 夕食を終えて、エリザベスは執事を呼ぶ。

 食後のコーヒーを給仕しながら、パーカーは首を傾げて見せた。

「そうですねぇ……正直に申し上げれば」
「正直な意見が聞きたいの」
「苦手なタイプでございます」
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