レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
 パーカーの胃の平穏は、数日で破られることになってしまった。
「アンドレアスに会いに行くわよっ」
 意気揚々と姿を現したエリザベスは、完全に武装を整えていた。
 胃がきりきりとしながらパーカーはエリザベスの後に続いて、アンドレアス商会に足を踏み入れる。
 上着の内側に拳銃を仕込んでおいたのはエリザベスには内緒だ。もっとも、彼の腕前では的に命中させるのはかなり難しいことなのではあるが、あるとないのでは違うだろう。
 
 エリザベスはてきぱきとアンドレアスをやりこめ、彼の上にいる者に連絡をつけることを約束させるところまでこぎつけた。
 そこまではよかったのだが――。

 どうやら、「裏の社会につながりを持つ者」に会いに行くことになってしまったらしい。
 胃薬を探し求めるパーカーには見向きもせず、エリザベスは連絡を待って行動を起こす気満々なのだった。
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