レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
陰謀の招待状
エリザベスのもとへ、一通の手紙が届けられたのはアンドレアス商会に殴り込みをかけた翌日のことだった。さっそく封を切ったエリザベスは封筒の中身をテーブルの上に広げる。
封筒の中には舞台のチケットと便せんが入っていた。
「亡国の王女のチケットね。ミニー・フライが主演……主演が彼女じゃなかったら見たいと思ってたのよね」
ミニー・フライが、王女の役で出演している舞台劇は、演出家の間でも評判がよかった。エリザベスにとっては、愛する俳優ダスティと熱愛中の「恋敵」であったりもする。
ダスティ・グレンとエリザベスは顔を合わせたことすらないのだが、この場合はその点を追求してはいけないのだ。
「そのチケットはどういう意味なのですか?」
パーカーには答えず、エリザベスはチケットを傍らへ放り出して今度は便せんへと視線を走らせた。その唇がゆっくりと笑みの形へと変化する。
「アンドレアスからよ、彼のボスがこの席で待ってるって」
「わ、私もご一緒に」
アンドレアスのボス、などというのはものすごい危険人物に決まっている。思わずパーカーは身を乗り出したのだけれど、エリザベスは首を横に振った。
「残念ながら、チケットは一枚だけ」
丁寧に手紙を折り畳んで、エリザベスは封筒の中に戻した。それから思案顔で天井を見上げる。
封筒の中には舞台のチケットと便せんが入っていた。
「亡国の王女のチケットね。ミニー・フライが主演……主演が彼女じゃなかったら見たいと思ってたのよね」
ミニー・フライが、王女の役で出演している舞台劇は、演出家の間でも評判がよかった。エリザベスにとっては、愛する俳優ダスティと熱愛中の「恋敵」であったりもする。
ダスティ・グレンとエリザベスは顔を合わせたことすらないのだが、この場合はその点を追求してはいけないのだ。
「そのチケットはどういう意味なのですか?」
パーカーには答えず、エリザベスはチケットを傍らへ放り出して今度は便せんへと視線を走らせた。その唇がゆっくりと笑みの形へと変化する。
「アンドレアスからよ、彼のボスがこの席で待ってるって」
「わ、私もご一緒に」
アンドレアスのボス、などというのはものすごい危険人物に決まっている。思わずパーカーは身を乗り出したのだけれど、エリザベスは首を横に振った。
「残念ながら、チケットは一枚だけ」
丁寧に手紙を折り畳んで、エリザベスは封筒の中に戻した。それから思案顔で天井を見上げる。