鏡に映る
呪い
柔らかい。
頬に当たる温もりや、滑らかな肌触りに、眠気が吸い取られたように目が覚めた。
目の前には90度角度を変えた窓が見え、その奥は薄暗さが広がっている。
昼寝をしたのは久しぶりだった。
毎日家に帰るのは夏でも冬でも、真っ暗な闇が広がりきった時間帯で、今みたいな薄暗さを家の中で見たのは、本当に、久しぶりだった。
音の無いため息を吐き出して携帯に手を伸ばすと、画面には友達からのメールが異常な程届いていた。
着信も数件、いつもとは違う携帯の異変に戸惑いながらも、数分前に届いたメールを開いた。
[テレビ、ニュース見て ]
飾り一つないその文面に眉を寄せてから、テーブルの上にあるリモコンに手を掛けてテレビを着けた。
時間帯的に、どのテレビ局もニュースを放送していて、電源を点けてすぐにそれは映し出された。