イジワルなキミの腕の中で


俯いたままでいると、先輩からの視線をヒシヒシ感じた。



掴まれた腕にギュッと力が込められる。



指が皮膚に食い込んで少し痛い。



「い、痛いよ……っ。そ、そろそろ帰ろうかな」



「逃げんなよ」



「ちょっ」



雰囲気に耐えられなくなって目を伏せながら言うと、腕を引っ張られてバランスを崩した。



そのまま肩を掴まれて、勢い良く床に押し倒されたのは一瞬のことだった。



ラグマットの上だから痛みは感じないけど、今だに掴まれたままの肩が熱い。


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