イジワルなキミの腕の中で


好きなのに、それだけじゃダメなのかな。


一緒にいるとドキドキして


ソワソワしてキュンとして。



好きっていう気持ちが溢れて来る。



ただ緊張して慣れないから硬くなるだけなのに、どうして先輩はそれをわかってくれないんだろう。



前にも言ったことがあるのに……。


理解してくれないことが、なんだか寂しくて悲しい。



低い声と突き刺すような視線に、次第に居た堪れなくなっていった。



女慣れしている先輩にモヤモヤしたままだし、鋭い雰囲気にもう心が折れそう。



「なに黙り込んでんだよ?」



「だ、だって……」



唇が触れそうなほどスレスレの距離でも、先輩はまだ怒っているようだ。


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