イジワルなキミの腕の中で
Ⅷ
雨はすっかり上がっていて、寒空の中猛ダッシュで駅まで走った。
最低……っ!
最低、最低、最低!!
先輩なんて……っ!
勢い良く走ったせいか
さっきのことがあるからなのか
バクバクと未だに鳴り止まない鼓動。
電車に乗ってから家に着くまでの間、放心状態で何も考えることが出来なかった。
どうして突然あんなことになったのか。
思い返すだけでも恥ずかしい。
それと同時に胸の奥がキリキリ痛む。
「はぁ」
さっきから出るのはため息ばかり。
家に着いてお風呂に入っている間も、予習をしようと机に向かったものの手に付かない。