イジワルなキミの腕の中で
クスクス笑われたけど、スルーを決め込んで帰り仕度をする。
今日はこれから玲奈と約束があるから、なんだかウキウキ。
先輩は今日は閉店までバイトだから、放課後は会えない。
会ってもテスト中だったから、駅まで一緒に帰るだけだった。
ぎこちなさはあったものの、いつも通りに接してくれるから、今では普通にしていられた。
あの日以来、なんて呼んだらいいのかわからなくて名前を呼べずにいる。
だけど“先輩”とも呼べなくて。
“光流や智沙と同類なんだ?”
その質問にも返答出来ないまま日々を過ごしていた。