イジワルなキミの腕の中で
Ⅸ
テストが明けたので、私もバイトを再開した。
授業でちらほらテストも返って来てるけど、今のところ赤点はないのでホッとしている。
今日は先輩とバイトのシフトが被っているから、こうして一緒に帰っているんだけれど。
「テスト返って来たか?」
「……うん。今のところ大丈夫だよ」
「そっか。頑張ったもんな」
「……うん」
私を見てクスッと笑う先輩は、いつも通りと言えばいつも通りなんだけど。
一つだけいつもと違うのは、その両手が私を避けるようにポケットに入っているってこと。
いつもなら手を繋いで歩くのに、ここ最近はまったくと言っていいほど触れて来なくなった。