イジワルなキミの腕の中で
「んな顔すんなよ。行かねぇとは言ってねぇだろ」
「えっ?」
いい、の?
人混みが苦手なのに
私に合わせてくれるの?
「見たいんだろ?大きなツリーが」
パアッと明るくなった私の顔を見て、先輩の口元が綻ぶ。
「うん!見たい!」
「ぷっ、仕方ねぇから付き合ってやるよ」
「あ、ありがとう!」
う、嬉しい。
楽しみ過ぎて思わずにやけちゃう。
やったね。
本当に楽しみー!
バイト中も顔が自然と緩んで、華さんや瀬名君に色々突っ込まれた。
「にやけ過ぎだろ。何がそんなに嬉しいんだか」
なんて、先輩にコソッと耳打ちされることも。
「クリスマスが楽しみ過ぎて」
「ぷっ、バーカ」
先輩は満足そうに笑って厨房に入って行く。
たまに意地悪なことも言うけど、基本的には優しいんだよね。