イジワルなキミの腕の中で
「萌ー絵」
階段の上から名前を呼ばれて顔を上げると、そこにはイタズラっぽく微笑む航希先輩がいた。
それを見てドキッとする。
「早いですね」
「ダルいからサボって保健室で寝てた」
航希先輩はまだ眠いといった感じで、目を細めながら大きなアクビをしてみせた。
そして
「萌絵は今日は寝なかったのか?」
なんてクスッと笑いながら聞いて来る。
「寝てませんよ!早く昼休みになれ〜って祈ってました」
だって
一刻も早く会いたかったんだもん。
だから授業そっちのけで時計ばかり気にしてた。
「ぶはっ。そんなに俺に会いたかったんだ?」