イジワルなキミの腕の中で
Ⅲ
「おい。ボーッとしてんなよ」
「えっ?あ、あぁ。はい」
しまった。
またバイト中にぼんやりしてた。
だってだって
ウサギ先輩があんなこと言うからー!
変に意識しちゃうじゃん。
「何考えてんだよ?」
「えっ?そ、それは……ヒミツです」
そう言うとたちまち不機嫌になっていく航希先輩の顔。
「あ、ほ、ほらっ。もうすぐテストだし赤点取ったらどうしようかなって。えへへっ」
ギクリとして慌てて弁解した。
だって
これまでの経験上
スネるとすごく意地悪になって
何をして来るかわからないから。