オレンジの片想い
ほんとはちょっと嘘。
微かに動揺してる。それに、胸を刺さる、抜けない小さな刺。だけどまだ気持ちは明確じゃないし、言葉にしてしまえばそれが本当になってしまいそうで怖かったんだ。
"怖い"なんて、そんなこと思ってることがもう答えなんだけど。
「もう1年以上経ってるし!全然気にしてないし.....だから大丈夫。ほら、食べよ!」
「それなら、いいけど」
「何かあったらすぐ私らに言いなよ?」
「わかってるよー」
わかってる。ふたりとも信頼してる。だけどやっぱ、いくら仲が良くても言えないことってあって。"何でも"は言えてないわたしは心のなかでふたりに謝った。
「咲歩、そっちはどんな感じなの?」
「あー、高木とクラス一緒」
「ええっ!そうなの?」
「あ、それ陽翔が言ってた!」
「え、ゆき、木山くんと同じクラスなの?」
「うん、そうだよ。高木、すごい喜んでたんじゃない?」
「....私それ凄く目に浮かぶよ」