オレンジの片想い

「でも咲歩の学校の制服、かわいいよね」


「あ、それ思ってた」



淡い青のシャツ、紺のブレザーにグレーのチェック柄のスカート、明るめの青色のリボン、紺のソックス。


青色を基調とした制服は県内の公立高校の中でかわいいと人気で、それ目当てで受験する人もいたりするくらい。



「チェックのスカートっていうのが憧れるよねえ」


「わたしたちふっつーの無地のスカートだもんね...」



無地の黒っぽい紺のジャケットに同じ色のスカート、赤のストライプ柄のネクタイ、紺のソックス...という、ごく普通すぎる制服。


ただしネクタイは学年ごとに色が変わっていって、今は1年の証である赤色。2年になれば緑色、3年は青色と変化していくのだ。



「あたしはネクタイいいなあって思うけど」


「ネクタイだけじゃん」


「ネクタイって意外と難しいんだからね」


「慣れだ、慣れ」



自分にないものを羨ましく思ったりするものだから、やっぱり咲歩の制服はいいなーって思う。だけど彼女は制服目当てで受験したのではない。まあ...少しはあったかもしれないけど、いちばんの理由はその高校の女子バレー部が強いから。


高校に入っても続けたいから、だそうだ。わたしも写真部入ろうかな。仮入部期間に入ったら行ってみようか。



それぞれの料理を食べ終えてからも、わたしたちはデザートまで注文して、途切れることなく話し込んだ。ずっと同じ場所は迷惑になるから移動して、それからまたおしゃべり。時間が経つのが早くて、気づけばもう暗くなっていた。



この先、きっと忙しくなってこんな風に3人で集まれることって少なくなっちゃうんだろうな。


そう思うと名残惜しい。



彼女たちと話すのは本当に楽しくて、ずっと笑ってたような気がした。だけど、ひとつだけ。






わたしは、蒼真に好きな人がいること、言わないまま帰宅した。
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