オレンジの片想い

昨日は体育館から教室へ戻る階段を使ったから小夏ちゃんが先に教室に入ったけど、今日は別の階段を使ったため、わたしが先に教室へと入る。



「じゃあね」


「うん、ばいばい」



小夏ちゃんに手を振り別れ、教室に足を踏み入れた。


ひなせちゃんの机には既に鞄がかかっていて、もう来ているのだとわかって探した。だけど教室の中にはいないようだった。



ホームルームが始まるまでには少し時間があった。


どうしようかな。こんな時に限ってクラスの中には女子がいなくて、もう打ち解けたのであろう男子たちが騒いでいるだけ。


とりあえず立ってても仕方ないから、座っとこ。


なるべく音をたてないように椅子を引いた。



小夏ちゃん、想像していたよりもずっといい子だったなあ。あれは好きになっても全然おかしくない。蒼真はいい趣味してるよ、うん。



...どこの姑だよ。



心の中で1人突っ込みしていると、前方のドアに先ほどまでしゃべっていた人物の姿が。きょろきょろと、誰かを探してる様子だった。



「あれ...小夏ちゃん?どうしたのー?」


「あっ...いたー」


わたしが声を掛けると笑みを浮かべこちらに駆け寄ってきた。どうやら探していたのはわたしだったみたい。まあ、こんな男子だらけの教室で人を探すっていったらわたしか蒼真ぐらいだよね。



「友だちもっと増やすぞって意気込んでたのにあたしのクラス、全然人いなくて。寂しくてこっち来ちゃった」


「わたしも、見ての通りロンリーだよ」


「うん...男子ばっかだね」


「でしょ。ほんと悲しかったの」



小夏ちゃんと話しているとき、視界に蒼真が入った。彼は談笑するわたしたちをみて驚いた顔をして、こちらに近づいてきた。



「小夏?」
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