オレンジの片想い

「...っと、もうチャイム鳴りそうだから、あたし戻るね」


「わ、ほんとだ。ばいばい」


「うん、ばいばい!」



小夏ちゃんは言いながらドアの方へ行き、手を振ったのでわたしも手を振った。蒼真は隣で、無言のまま小さく同じ動作をした。



小夏ちゃんの姿が見えなくったのと入れ替わるように、ひなせちゃんが入ってきた。



「ひなせちゃーん。おはよー」


「あ....お、はよ」



彼女に続いて、他のクラスに行っていた人や今来た人がぞろぞろと教室に入ってくる。

この時間帯に登校する人が多いなんて、わたし凄く早く来たんだな。


結局友だち増やせなかったし....あ、でも小夏ちゃんとは仲良くなれたから、いいとしようかな。1年間過ごすんだから、いつかは自然に話せるようになるでしょ、なんて思い始めた。



席に着いたひなせちゃんと話すために体を後ろに向けようとしたら、何か言いたげな蒼真の視線が刺さり、出来なくなった。



「....なんですか、瀬川くん」
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