オレンジの片想い

「.....積極的に?」


「そう」



完全に落ち込んでだらしなく机に突っ伏して嘆いていた蒼真が、わたしの口から発した単語に反応して、起き上がった。




「これでもかってくらい積極的になって、感付かせるの」



蒼真は考えるような仕草をして、黙っていた。どうやら積極的になることを自分自身と検討しているようだ。


そんな彼を横目に、わたしは続けた。



「今の蒼真は....小夏ちゃんに気付いてほしいけど、気づかれて変に気まずくなるのが嫌、って感じなんだと思うんだけど、違う?」



「.....違わない」



なんでわかるんだ、とでも言いたげな。さっきから苦笑いしてばかりだ。



わかるよ。わたしもそうだったから。



「でもね、女の子には"わたしのこと好きなのかな"ってちょっと思わせた方が、気になってくるもんだよ」



それもまた、わたしもその手にまんまと嵌まっちゃった事があるから言える。

ていうか、ほとんどの女の子がそうなんじゃないかな、と思う。



「そー....なのか?」


「そうなのよ」


「なんか雪葉、恋愛上級者みたいだな」


「それなら蒼真は恋愛下級者?」


「はは、そうだな」
< 113 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop