オレンジの片想い
「.....積極的に?」
「そう」
完全に落ち込んでだらしなく机に突っ伏して嘆いていた蒼真が、わたしの口から発した単語に反応して、起き上がった。
「これでもかってくらい積極的になって、感付かせるの」
蒼真は考えるような仕草をして、黙っていた。どうやら積極的になることを自分自身と検討しているようだ。
そんな彼を横目に、わたしは続けた。
「今の蒼真は....小夏ちゃんに気付いてほしいけど、気づかれて変に気まずくなるのが嫌、って感じなんだと思うんだけど、違う?」
「.....違わない」
なんでわかるんだ、とでも言いたげな。さっきから苦笑いしてばかりだ。
わかるよ。わたしもそうだったから。
「でもね、女の子には"わたしのこと好きなのかな"ってちょっと思わせた方が、気になってくるもんだよ」
それもまた、わたしもその手にまんまと嵌まっちゃった事があるから言える。
ていうか、ほとんどの女の子がそうなんじゃないかな、と思う。
「そー....なのか?」
「そうなのよ」
「なんか雪葉、恋愛上級者みたいだな」
「それなら蒼真は恋愛下級者?」
「はは、そうだな」