オレンジの片想い

HRが終わるチャイムが鳴ると、担任は素早く教室から出ていき、今は休み時間。



蒼真と陽翔がわたしの右側で話していた。わたしは見ることができず、ひなせちゃんとしゃべるために左側に体を向けて、彼らには背中を見せた。




「ひなせちゃん、朝どこにいたの?」


「3組の.....ともだちと、話してた」


「友だち、3組なんだ?わたしも3組に同じ中学で仲良い子いるんだよー」



3組と聞いて、真っ先に浮かぶ月菜の顔。



そこで昨日話していた内容を思いだして「あ」と声を漏らした。そんなわたしに、ひなせちゃんは不思議そうに首を傾けた。



「昨日、その子にひなせちゃんの話してね、会いたいって言ってたの」


「え....ええ?」



わたしの唐突な言い分に、ひなせちゃんは少し長い前髪を揺らして困惑していた。それをわかっていながらも、訊いた。



「だから紹介しに行ってもいい?」



人見知りな彼女からしたら、このお願いは承諾し難いだろうと思う。案の定、眉尻を下げて苦笑いという、明らかに困っている表情を見せた。



ほんの数秒間、目を逸らし悩むような仕草を取ったのち、控えめにわたしと再度目を合わせ小さく頷いた。



「よかった。じゃあ後で一緒に行こう!」


「そ、の代わり....私も雪葉ちゃんの事、紹介する....よ?」


「うん、了解!」



笑顔で返事をしたところで予令が鳴り、わたしは体勢をもとに戻した。


目が合わないよう意識して。
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