オレンジの片想い

1時間目は、英語。



高校生活第1回目の授業がその教科。わたしはわりと好きだけれど、蒼真は苦手だと言っていたから心底嫌なんだろうな。


現に、ちらりと隣を見れば、彼はげんなりとしていた。


この時間は英語教諭やわたしたち生徒の軽い自己紹介やらに費やされ、ほとんど授業はしなかった。先生は関西出身のすごく面白い人で、教室内は終始笑いに包まれていた。




「じゃ、次からは真面目に授業すっからなー」



委員長の号令が終わらないうちにそう告げ、足早に教室を出ていった。どうして先生方はいつも、チャイムが鳴るとすぐに行ってしまうんだろう。



かなり些細な疑問を抱きながら、先程と同じように彼らに背中を向けて、笑顔で後ろの席の彼女を振り向いた。




「よし、ひなせちゃん。行こう!」



早く紹介したくて、ひなせちゃんが返答するのを待たずに立ち上がり、半ば強制的に彼女を連れ出そうと手を引いた。だけどその手から、逆に引っ張られて足が止まる。



「っわ、私.....だい、じょうぶ...かな」


「....?」



ドアの手前で、首をかしげた。



「わ、たし....人見知り、するし.....全然、上手く話せない。だから....」



なかなか言葉が見つからないようで濁していたけど、言いたいこと、ちゃんと伝わった。


紹介してもきっと楽しくないのに、大丈夫かな


そう、言いたいんだろう。



「....ねえ、ひなせちゃん。わたしはさ、人見知りするとか上手く話せないとか関係なしに、ただ優しい子だなって。だから好きになって、今もこうして一緒にいる」


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