オレンジの片想い
真っ直ぐ見た位置には、ネクタイの結び目。見上げれば、口元に手を当てて笑っている蒼真の顔。
「やっぱり、絶対蒼真だと思った!」
「あ、バレてたか」
「もー、何?」
「お前見たらなんか体当たりしたくなって」
....な、んだそれ。なんか、あれみたい。漫画とかでよくある、恋する男子の好きな子にはちょっかい出したいってやつ。
まあ、わたしがその対象なわけがないんだけどさ。
「何それ!わたしを転けさせたいってことじゃん」
「まあそういうことだな」
「うわ、ただの最低だ」
「お前はいちいち応えてくれるからおもしろいんだよ」
「そりゃ押されたら転けるでしょ」
「転け方がおもしろい」
「ぜーったいいつか蒼真転けさせるー!」
笑顔は、中学のときとちっとも変わってない。子供みたいに笑いやがって、このやろー。
1年半前に引き戻されそうだ。