オレンジの片想い
こんにちは、恋心
「お前らって仲良いなー。そういえば中2んときもそうだったよな」
くだらない言い合いをしながら席まで歩いていると、わたしたちの声を聞いてか陽翔がこちらを向き、わたしたちを見て感心したようにそう言った。
「なっ、蒼真がちょっかい出してくるだけだし!」
「はー?何照れてんだよ。俺ら中学んときからずっと親友だろー?」
にやにやしながら、蒼真はぐい、とわたしの肩を引き寄せて、彼が一方的に肩を組むような形に。
急に訪れた密着に、頭が混乱して体温が急上昇した。
「ぎゃ!離してよばかー!」
「照れんなって~」
「きもいー!あほー!」
「....蒼真、ひどい罵倒浴びてるな」
蒼真の肩を一生懸命押してみても、びくともせず全く効かない。それどころか、強くなったような気がする。
彼は冗談やノリでやっているんだろうけど、わたしにとっては大事件。
心臓が破裂しそうってまさに今。
わたしの口から勝手に飛び出る暴言に、陽翔は苦笑いしていたけど、蒼真は気になんて全然していなかった。
...蒼真ってスキンシップに躊躇ないよなあ。
男子嫌いだった自分が嘘だったみたいに平気になったと思ってたけど、やっぱりこういうところでは慣れてない。
数秒間、その状態でいたけれど、わたしが"先生もう来るから"と言ったら彼はわたしを離した。
隣にあった熱がなくなったその瞬間に、どうしてか寂しいという感情が湧いた。