オレンジの片想い
そういえば蒼真は、授業中によく寝る人だ。
「いつも寝てるよね」って言ったら、「限界まで頑張ってるけど、いつの間にか意識ない」とかなんとか言っていた。
たぶん今もその状況。
起きたらきっと、"あれ、寝てた?"って言うだろうな。寝起きは目の充血した、だるそうな彼のその姿が目に浮かんだ。
漸く笑いが収まってきた。じっと見るのはなんだか自分が変態みたいだから、横目で蒼真を観察する。
蒼真は無意識なんだろう、自分の寝やすいベストポジションを探って、自らの腕に頭を載せた。
それが丁度右腕で、顔がこちらに向いている。
.....ああ。どうして寝顔って、こんなにもかわいいのだろうか。
いちばん無防備なその状態は、さっきまでの彼の力の強さが嘘みたいで。例えるなら、猛獣が大人しくなったような、そんな感じ。
眺めているだけで、心臓がぎゅーって締め付けられてる感覚。
それがどうしようもなくって、手に持っていたシャープペンを握り締め、口も硬く結んだ。
どうしたら治まるんだろう。
どうしたら、止められるんだろう。
今にも走り出しそうな、この想いを。