オレンジの片想い

蒼真は自分の額に手を当てさすった。前髪で隠れていた額が露わになる。



「わ、ちょっと赤くなってる」



どんだけ勢いよかったんだよ。普通起きるでしょ...そんなに眠たかったんだろうか。大抵の人は頭がカクンてなっただけでも起きると思うんだけど。



「なんかじんじんする」


「そりゃね。痛そう...あほだなー、もう」


「今の状況は反論できないな」



自嘲気味に蒼真が苦笑するから、苦笑いを浮かべた。

それにしたって本当に痛そうだ。こんな姿、小夏ちゃんに見せられないな。見せられるわけがないけど。



「見てたのがわたしでよかったね」


「だな」



"わたしだから"格好悪いところも見せられる。格好いいところだけを見せたいのは小夏ちゃん。だけど、格好悪いところも両方見れるのは"わたしだけ"。それがなんか嬉しかった。



「保健室行って氷もらう?冷やした方がいいでしょ?」


そっと手を伸ばし、彼の額に触れる。



指先から蒼真の体温を感じたとき、自然と上目遣いになっている彼と目が合う。ドク、と心臓が跳ねる音がしたと思えば、手首を引っ張られて、わたしの片手が完全に彼の額にひっついた。



「面倒臭いし、いいや。お前の手冷たいし、十分」




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