オレンジの片想い
3限、4限は真面目に起きていた蒼真。2限でたっぷり寝たからだろうか。
そして、今はお待ちかねの弁当タイム。
昨日と今日とで仲良くなった人同士で机を合わせていたり、学食へ行ったりとみんなが動き出した。
わたしもそれに加わるように、後ろを向いた。
「ひなせちゃん、一緒に食べよー」
「あ.....、私も、言おうとしてた」
同じこと思っていたのか。自然と頬が緩んだ。
机ごと動かすのは面倒なので、椅子だけを後ろに向けて、ひなせちゃんの机を使わせてもらうことにした。
ふたり一緒に「いただきます」を言って、話ながら食べる。
「学食ってどんなだろね」
「すぐに席、なくなっちゃう....らしい。けど、美味しいって、お兄ちゃんが...言ってた」
「ひなせちゃん、お兄さんいるんだ」
「うん....今、大学生だけど」
大学生かあ。ここの学食を知ってるってことは卒業生なんだね。まだ在学してるなら会ってみたかったな。
「じゃあ今度、学食行ってみる?」
「うん...行こう」
「よし、決まり!....あ。言おうと思ってたんだけど、食べ終わったら連絡先おしえてほしい」
「あ...、そういえば、知らない....ね」
「そうなんだよ。昨日知らないことに気づいてさ、あー!ってなった」
「ふ....後で、交換しよ」
「おっけー、ありがとう!」
「.....ね、雪葉、ちゃん」
「ん?」
名前を呼ばれて、ぱっとひなせちゃんを見た。彼女はひと呼吸おいて、口を開いた。
「....雪葉ちゃん....て、瀬川くんのこと、好き...なの?」