オレンジの片想い


どうしたらいいのかわからずぐるぐると頭の中で廻る。そのまま、なんだか重い空気で終わってしまった高校生活最初の昼休み。



「なんか、ごめんね」



そう謝ると、彼女はぶんぶんと頭を横に振った。



先生が来る前から黒板の方をを向いて座っていると、どこかのクラスへ行っていたのか、蒼真が戻ってきた。


隣の席から聞こえる音に、敏感に反応する。


視界を遮るために、長い髪をカーテン代わりにして垂らした。もうこれ、癖みたいになってるなあ。




「雪葉?」




心臓が、跳ねる。



無視するわけにもいかず、自分にだけ聞こえるくらい静かに深呼吸をした。そのとき、緊張で唇が震えた。



顔を上げたら、"普通"にならなきゃ。



「何ー?」



いつもの笑顔を、精いっぱい張り付けて。
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