オレンジの片想い

...ああ、どうしよう。大変だ。



顔を見たら、認めたら、止まらない。



目が合うだけで、胸が痛いくらいに"好き"で埋め尽くされて、苦しくなった。

ぎゅーって、心臓がくるしい。



「なんか元気ない?」


「...え」



びっくりして、固まってしまう。修学旅行のときも、こんなことあったっけな。今もあの時も、その原因は蒼真が関わっているんだけどさ。



「なんで、そう思ったの?」



否定はせずにそう訊き返した。



「んー...、髪」


「え?」


「髪で顔隠して下向くとき、なんか考え込んでる時だろ?」




.....なんで、気づいちゃうかな。


わたしのことを少しでも気にかけていてくれたことが、こんなにも嬉しくて、ますます止まらない。



「ばれてたのかあ。でももう大丈夫」



なんて単純。


その優しさで、さっきまでの悩みが吹っ飛んでしまうなんて。







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