オレンジの片想い
「そーか?ならいいけど」
「うん。心配ありがとね」
「おー。でもあんま溜めんなよ?俺も話ぐらい聞けるから」
そんなに優しくされると、照れくさくて調子狂うなあ。蒼真のこういうとこ、好きだなって思う。
誰にでも対等に接するから当然女子からも人気だし、おまけにかっこいいから、昨日だって結構騒がれていた。蒼真は全く気にしていなかったけど。
自分の恋愛のことになると本当に鈍感になるんだから、困る。
人が悩んでたりするときは敏感なくせにね。
「ありがと。蒼真も何かあったら言いなね?」
「俺はそんなに悩み事とかしねえよ」
「あー...なんか、突っ走るタイプだよね」
「そう、それ」
「でも悩み事ない、とも言いきれないでしょ?例えばさ、」
蒼真は怪訝そうな顔でこちらを見ていた。だけど、わたしが次に口にした言葉を聞いた瞬間に、表情が変わった。
「恋の悩み、とか?」
______わたしは神聖なる馬鹿だと思う。
この話題に触れれば、蒼真がこんな顔するってわかっていたのに。
わかっていて言った、その理由は。
たぶん、近づきたかったからだ。