オレンジの片想い
先生がほんの少し遅れてきて、5限目が始まるとともに私たちの会話は途切れた。
5、6限目はしっかり集中できた。
蒼真と話さなかったら、今もずっともやもやして、授業なんて全く聞けていなかっただろうな。よかった、話せておいて。というか、話しかけてきてくれてよかった、だね。
これからどうしようとか、そんなのきっと関係なくて。そのときに思ったことを、全力でやればいい。
わたしも蒼真と同じ、突っ走ろう。
やらないで後悔するより、やって後悔した方がずっといいと思うから。
6限目の終わりのチャイムが鳴り、学級委員の号令がかかると、みんなそれぞれ行動しだした。
隣を横目で見ると、大きく伸びをしていた。
....そういえば、わたし、蒼真の連絡先持ってないなあ。
中2のときも、知らないまま蒼真がいなくなちゃって、すっごい後悔した。もうそんなことならないように、ちゃんと訊かなきゃ。
そう決めたとき、
「....あ」
ふと思い出して、小さく声を漏らす。
...ひなせちゃんの連絡先も、まだ教えてもらってない。