オレンジの片想い
「....何笑ってんだよ」
わ、言われてしまった。そんなにまでにやにやしていたのか、わたし。そりゃきもちわるいわな。
「んー?なんでもないよ」
なんでもない、なんて。わかりやすすぎる誤魔化し方をしたな、と自分で言ってて思った。
だけど蒼真は、それ以上何も訊かなかった。不思議そうにはしていたけど。
「あー...課題テストか。面倒くせぇな」
「それね、わたしも思ってたよ」
「絶対思ってんの俺らだけじゃないけどな。俺絶対英語だけ低い....」
本当に怠い、といった顔。
それを見てわたしは、また墓穴を掘る。
「....小夏ちゃんに教えてもらいなよ。わたしにやった時と同じ作戦で」
目線を伏せてそう言った。すると彼は彼女を想ってか、ふっと薄く笑った。
「いや、あいつの方が俺より悪いんだよ」
「え、そうなの?」
意外だ。なんでもこなせそうだから、てっきりすごいインテリなんだろなって勝手にイメージ付けていたから。
驚いて目線を持ち上げたとき、浮いていた心が突き堕とされるのを感じた。
「おう。だから、今回は俺が教える側」
....なんて顔して、微笑むんだろうと思った。
小夏ちゃんのことが本当に愛しいんだって、表情から読み取れるような、そんな。
胸が締め付けられて、苦しいよ、ねえ。
_________わたしの恋、
これから哀しい色に染まっていく。