オレンジの片想い

「....何笑ってんだよ」



わ、言われてしまった。そんなにまでにやにやしていたのか、わたし。そりゃきもちわるいわな。



「んー?なんでもないよ」



なんでもない、なんて。わかりやすすぎる誤魔化し方をしたな、と自分で言ってて思った。

だけど蒼真は、それ以上何も訊かなかった。不思議そうにはしていたけど。



「あー...課題テストか。面倒くせぇな」


「それね、わたしも思ってたよ」


「絶対思ってんの俺らだけじゃないけどな。俺絶対英語だけ低い....」



本当に怠い、といった顔。

それを見てわたしは、また墓穴を掘る。



「....小夏ちゃんに教えてもらいなよ。わたしにやった時と同じ作戦で」


目線を伏せてそう言った。すると彼は彼女を想ってか、ふっと薄く笑った。



「いや、あいつの方が俺より悪いんだよ」


「え、そうなの?」



意外だ。なんでもこなせそうだから、てっきりすごいインテリなんだろなって勝手にイメージ付けていたから。

驚いて目線を持ち上げたとき、浮いていた心が突き堕とされるのを感じた。



「おう。だから、今回は俺が教える側」




....なんて顔して、微笑むんだろうと思った。


小夏ちゃんのことが本当に愛しいんだって、表情から読み取れるような、そんな。



胸が締め付けられて、苦しいよ、ねえ。





_________わたしの恋、





これから哀しい色に染まっていく。
< 141 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop