オレンジの片想い
*第3章
溜息
重い足取りで家に帰ると、母が「おかえり」と微笑んだ。それに「ただいま」とだけ返して、階段を駆け上がり自分の部屋へ入ってドアを閉めた。
ふらふらと、着替えもせずにベッドへと吸い込まれるように倒れ込んだ。
「はあ.....」
声の少し混じった溜息がこぼれる。
しばらくその状態でいて、瞼を1度下ろした。
数秒経って、むくりと起き上がり、近くに放り投げるように置いた鞄からスマホを取り出す。
ピカピカと光っているそれを操作すると、新着メッセージが一件。
それは、ひなせちゃんからのものだった。
『改めてよろしくね!(^o^)
連絡先、訊けた?』
最初にあいさつをしてから、あの後のことが気になっているんだろう、2行空白を開けてそう訊いてきた。
『こちらこそよろしくね!ちゃんと訊けたよ~』
結果だけを送ると、すぐに返信がきた。
『おお!よかったじゃん(^^)頑張ったね!』
話しているときと文面はやっぱり雰囲気というかが違うもので、意外と顔文字とか使うんだなって、新しくまた彼女のことを知った。
『ありがとう』
ただ一言、そう送って、またベッドへ背中から倒れた。