オレンジの片想い
ちゃんと送れたかも確認せずに、画面をすぐに戻す。
スマホをベッドの上に放って、蹲った。心臓が活発になっていて、わたししかいない静かなこの部屋に響いてるみたいに感じた。
.....これって返事、こなかったら虚しいな。
そんなことを頭の片隅で思う。
蒼真からの返信を待つ間にも、放課後の蒼真の表情が、脳裏に浮かんでは消える。
それがチクチクと胸に刺さる。だけど、恋ってやっぱり楽しいものだと思った。
だって、ドキドキしながら待ってるこの時間さえも、楽しくて嬉しいものだから。
楽しいも悲しいも持ち合わせたものこそが"恋"。
一喜一憂するその意味が、今となって心の底から共感できた。
__________ピロン
唐突に鳴った、メッセージが届いた音。思わず体がびくついた。
治まりかけていた鼓動がまた激しくなる。
恐る恐るスマホに手を伸ばして、タップした。わたしはこれでもかって程、画面を凝視していた。だけど、そこにあった文字は思っていたものとは違っていて。
『おう!』
ただ、それだけ。
.....あれ?これで終わりなの?「よろしく」に対する返しだけで終わりなの!?
もう、わたしのドキドキ返してよ。
いまいち蒼真がつかめない。男子ってこんなものなのかな。
それから返事を返す内容もないし、会話を続ける気にもならず、スマホを机の上に置いて今日いちばんの溜息を吐いた。