オレンジの片想い
___________どうして、会ってしまうのか。
昨晩は、交わしたメッセージの内容を忘れようとすぐに布団に潜った。
そして今朝、いつもより早い時間に目が覚めた。目覚まし時計に起こされない朝なんていつぶりだろうかと思いながら、ゆっくりと支度をして、昨日よりも遅い時間に家を出た。
昨日早く出て十分間に合ったし、このくらいに出ても大丈夫だろうと思ったのだ。
それと、小夏ちゃんにも会った時間帯だったから。なんとなく会いたくなくて、それで遅めに出た、というのもある。
それなのに。
駅の前を通過しようとしたとき、昨日と全く同じことが起こったのだ。
「あっ、雪葉ちゃん!」
少し向こうから聞こえたわたしの名前。その声だけで誰かすぐにわかって、ちょっと躊躇いがちにその方向を見た。
そこには相変わらずかわいい小夏ちゃんの、無垢な笑顔。
........ああ。作戦失敗だ。
小走りで駆け寄る小夏ちゃんを無視して先に行くなど俄然できなくて、また、彼女と肩を並べることとなった。