オレンジの片想い
「また会ったね!」
わたしって性格悪いな。改めてそう思う。
小夏ちゃんは、何もしていない。悪くない。悪いのは、わたし。何もかも素直に受け入れられる程、わたしの心は広くないのだ。
「だね。昨日より、遅い時間に出たの?」
「うん!電車は結構あるからね。昨日は早く着いちゃったから暇だったし。雪葉ちゃんも?」
「全く同じ考え」
「あはは、やっぱそうだよねえ」
気さくで明るい小夏ちゃん。
彼女がいい子だからこそ、心底自分が嫌いになるのだ。
「そういえば、金曜日テストだってね。入学してすぐなのに嫌だな~....」
思い出して、苦い顔をした小夏ちゃん。
ふと、頭に昨日の蒼真が浮かんだ。
「勉強しなくちゃだね、いきなり」
「あたし国語以外苦手なんだよね。春休みの課題だって死ぬかと思ったもん」
「そうなんだ?でも、この学校受かったんだから、悪いって言っても一般で見たら良いんじゃない?」
「うーん...そう捉えるとそうかもしれないけど、必死に勉強して奇跡的に受かったから、これから勉強ついてけるか今さら心配っていう」
あはは、と笑い話にして彼女は不安を口にした。