オレンジの片想い

本当に嫌いなんだろう。表情からそれが十分読み取ることができた。


どんな顔してたってかわいいな。

そんな気持ちの悪いことを考えながら、小夏ちゃんを見つめていると、彼女は"あっ"と思い出したように言って、こちらを見た。




「でもね、今回は助っ人がいるの!」


「助っ人......?」



なんとなく、予想はついていた。





「うん。放課後、蒼真が勉強見てくれるの」




そりゃあそうだよね。

昨日、教えるってあんだけ愛しそうな顔して意気込んでたとこを見たんだから。


ということは、蒼真、ちゃんと誘ったんだ。



「そうなんだ、教えてくれるっていいね。蒼真頭いいらしいし」


「蒼真はすごいよー。あたしと正反対でさ、数学得意なんだよね。だから質問しまくる。この先慣れるためにね!」



にんまりと、笑顔を咲かせる彼女。



わたしも笑って見せてみたけど、上手く作れていた自信がない。




「そうだね。折角教えてもらうのなら、わからないとこ無くすくらいしてもらわないと損だもんね」


「うん!頑張ってくるよ」


「ん、頑張れ」




頑張れ、なんて。よく言うよ。






近づかないで、なんてもっと言えるわけもないけど。
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