オレンジの片想い
「ふ、嘘だって。ありがと」
陽翔の表情がおかしくて、笑ってしまう。
すると彼も、柔らかく口元を緩ませ、目を細めた。
「あー...と、雪葉」
「ん?」
なんだか言いにくそうに、口をパクパクさせる陽翔。視線が交われば、彼はふっと逸らして椅子の背もたれの部分に肘をついた。
「明後日、テスト....あるだろ」
「うん?あるけど」
どうしたんだろう陽翔。挙動不審になってる。
眉を寄せて、彼を解ろうとするけど解らないから、言葉と待つ。
陽翔はずっと目を逸らしていたけど、一呼吸置いてから、またわたしと目を合わせた。それがどうも真剣な眼差しだったから、何を言われるんだろうと固唾を飲む。
「....、今日と明日、一緒に勉強しねえ?」
深刻な悩みを打ち明けられでもするのかと思っていたから、目をぱちくりさせた。
「ああ、なんだ。不吉な話かと思ってちょっとドキドキしたじゃん」
「なんだ、って...」
「いいよ、やろう」
安堵の息を漏らして、快諾した。