オレンジの片想い
恋の定理
次の日は、朝小夏ちゃんと遭遇することはなく、ひとり静かに教室へと入った。
数日振りにひとりで登校する朝は、寂しく感じた。毎回のように、小夏ちゃんに出会えば"あ"って思ってしまうのに、いざいなくなると寂しいだなんて。自分勝手だな。
ひとりだと、歩くペースだって変わる。
だから昨日よりも早くに着いてしまって、とは言えまたも教室を移動して誰かと喋ろうなんて気の起こる時間でもなくて。
そうだ、勉強、しとこ。
端から見たらすごく真面目な女の子だろう。
ノートやらを取りだし、昨日の続きに取りかかる。ひとりの時は勉強とかしてたら、なんとか暇が潰せそうだ。
何問か解き進んだところで、頭に何か軽いものがぽん、と乗った。
「朝から勉強?いつからそんなに真面目になったんだ、お前」
その声に、鼓動が速くなる。
「.....蒼真。おはよ。いいでしょ、別にー。ていうか、わたし真面目だし!」
「おー。真面目じゃねえけどそういうことにしといてやるよ」
「なんなの、あんた」
「瀬川蒼真です」
「知ってる。むかつく」
「ふはは」