オレンジの片想い
自転車に跨って、ひらひら風に靡く膝丈スカートを気にしながら、集合場所のレストランへ向かう。
カランカラン、という音の鳴るドアを引いて店内を見渡すと、咲歩が既に来ていた。
さすが、きっちりしてる。なんて感心した。
店員が寄ってきて、咲歩の方を指さし待ち合わせていると知らせると、店員は丁寧に案内してくれた。咲歩はわたしが近づいたのに気づいて、顔の横で小さく手を振った。
「咲歩~、なんか久しぶり!」
「ほんと。まだそんなに日は経ってないはずなんだけどね。久しぶり」
咲歩はいつも耳の下で1つにまとめている髪を下していたから、なんだか大人っぽく思えた。
間もなくして月菜も揃い、3人になってそこで、懐かしいなあって思った。前に一緒にいたことが日常だったからだろうか。すごく久しぶりだ。
ちょうどお腹も減る時間で、わたしたちはそれぞれ好きなものを注文し、喋りだす。
「咲歩、そっちの学校どう?」
「大分慣れたよ。不安だったけど今は楽しい。ゆきたちは?」
「んー...わたしは特定の人としか一緒にいないかなあ」
「そうなんだ?ゆきって中学んときはクラスにも他のクラスにもいっぱい友だちいから、そんなイメージついちゃってるわ、あたし」
「ああ、それ私も。ひなせちゃんだよね?朝よく来る」
「月菜、その頃にはもう来てるんだね」
「うん。遅刻するよりはいいでしょ?彩ちゃんも来るの早いしね」
「わたし朝はぼっちだよ」
「3組来ればいいのに」
「行くほど時間があるわけでもないんだよね」
「あ、そーなんだ」