オレンジの片想い
「咲歩はどうなの、高木と」
何気ないように、さらりと投げ掛けてみると、彼女はわかりやすくって飲んでた水を思いきりむせた。
「な....た、たか...っ」
「なあにーその焦り方。気になる」
「な、何もないよ....あ、ああ料理来たよほら食べようよそんな話なんてせずに」
捲し立てるように早口で、句点も付けずに話を終わらせる咲歩。こりゃあ何かあったと思うしかないじゃないか。今度時間があるとき高木に連絡してみようかなー。咲歩から話すことは無さそうだし。
机の上に乗せられた料理は、出来立てでいい匂いを漂わせていた。
3人揃って"いただきます"と手を合わせ、スプーンやらフォークやらを取ってそれぞれに食べ出す。
食事中は、必然的に口数が減ってしまう。
食べながらいつものように話すのは、手で口を覆ってもなんだか忙しないし、器用でもないからだ。
.......打ち明けるなら、今だろうか。
今日はわたしはふたりに会って同時に伝えるべきことがあるのだ。それを言う良い機会なんだ、今は。
スプーンを音を立てずに置くと、彼女たちは不思議そうな顔をした。
「....あ、あのね」