オレンジの片想い
「やっぱりそうか。こんな短期間で好きな人できたって言ったら...もう瀬川くんしか出てこなかったよ、あたし」
「ははは...」
さすが、咲歩。学校が違うから蒼真と陽翔ぐらいしかわたしと同じクラスの人知らないのに、その中で当ててしまうなんて。わたしが一目惚れしたとかそういう可能性とか考えなかったのかな。
わたしもなんで、咲歩と月菜なら言わなくても誰だかわかるだろうって思ったんだろう。
「雪葉は一目惚れとかするタイプじゃないもんね」
「うん、あたしもそう思う」
あ、そこまで見抜かれちゃっていたんだ。
男子が苦手だったころは恋ってものがよくわからなかった。かっこいいとかそういうのはあったけど、恋情とかじゃなくて。
それが、蒼真と仲良くなってからどんなものだかはっきりとわかった。
だからきっとわたしは、一目惚れってしないと思う。
それを、何も言わずに気づいていてくれたんだろうか。それなら素直に嬉しいな。良い友だち持ったなって、心から思えるから。
「んで、ゆきはまたどうして瀬川くんを?」
どうして、と言われたら、どうしてだろう。気持ちを言葉で表すのって難しいな。
「...一緒にいたら、もう気づいた時に好きになってた」