オレンジの片想い
「でも蒼真と話すようになってから全然気にならなくなった。おかげで友だちも増えたし、たまにからかわれてもかわせる術を身に着けたし。だから、ありがとう」
そうだ、わたしありがとうって、ずっと言いたかった。やっと言えたよ。
「....おう!」
蒼真の笑顔につられて、わたしも笑う。
「ていうか、気にしてたんならなんで蒼真は男子嫌いって知っててわたしに話しかけてくれたの?」
「ん?ああ、女子としゃべってたときにさ、結構愚痴とかってきくんだけど...まあ俺も嫌いな人くらいいるから普通に聞いてんだけどさ」
「うん」
そういえば...蒼真って男女問わず友だち多いもんね。最近は休み時間も移動せず教室にいるからあんまり女子をみなくなったけど。って移動しなくなったのはわたしもだな。
「雪葉の愚痴は全然出てこないんだよね」
「え?で、でもそれはわたしと面識ないだけじゃ...」
「3組の中田と江口。知ってるだろ?」
確かに、知っている。こくりと頷いた。
「で、雪葉の愚痴も出てこねえし、いいとこばっか話してたんだ。雪葉のこと好きなんだなって思ってさ」
あのふたりが、わたしのいいとこ話してた?それは、素直にうれしい。