オレンジの片想い
何なんだろうな。ただ、蒼真といると好きだなって思う。
どこが好きだとか訊かれて迷ってしまうのは、心から好きじゃないからなんかじゃなくて、小さな事も大きな事も含めて彼の全てに惹かれるから。それらを1つ1つ言葉にしていくとキリがないし、総合してまとめるのも難しい。だからこそ、すぐに答えられないのだと思う。
「瀬川くんは雪葉の好きになる理由全部持ってるってことか」
「そういう事だねえ、あはは...」
わざとらしく笑って、スプーンを持ち直した。するとふたりも同じように食事を再開した。
「そっかあ...うん。応援するよ」
「あたしも。学校違うけどさ」
「ありがと、ふたりとも」
それからまた、食べ終わるまで口数が減って、食べることにみんな集中していた。
そして3人全員が食べ終えて、この日はデザートなどは月菜の金欠のため頼まずに店を出て、月菜の家へ。
家の中は静かで、どうやら誰もいないようだ。
月菜の部屋へ行き、それぞれに持ってきたスナック菓子をパーティー開けして、完全女子会モード。
はっちゃけて騒ぎ倒した頃、月菜が唐突に、酔っぱらったサラリーマンのような変なテンションでわたしに絡みだした。
「雪葉はー瀬川くんと今も変わらず仲いいのー?」
「る、月菜?どうした、何かおかしい...」
「わ、この子ジュースと間違えたのかしてチューハイ飲んじゃってるよ」
「ええっ!」
「あたしらは無事だけど...ああ、確かに缶の柄が似てる...」