オレンジの片想い
ほ、本当に酔っぱらっていたのか...!
缶ジュースは月菜の家にあったもので、どうやら絵柄の似ているこのチューハイを間違えて持ってきて、そのまま飲んでしまったらしい。
月菜はなおもおかしなハイテンションのまま、わたしたちの焦りを無視して話し出す。
「ねえー聞いてるー!?」
「ど、どうしよう...どうしたらいいの咲歩。何か怒ってるこの珍獣」
「珍獣...確かに...寝るほど酔ってはいないしとりあえず会話しとこう」
「う、うん...」
戸惑いつつも、そのままで接することにしたわたしたち。
「雪葉と瀬川くんってー、仲いいからさあ。上手くいきそーだと思うんだけどなあーほら、両想いだったしさ、その辺雪葉的にどーなのー?」
「直球だな...ゆき、大丈夫?」
「あはは、うん」
「だからあ無視しないでよー!」
「ごめんごめん。.....わたしは、上手くいく気しないなあ」
「えー?なんで!」
酔いが回っているせいで、月菜はいつもよりオーバーリアクションだ。月菜の表情と、これから口にする内容に苦笑した。
「えーっとね、実はさ....蒼真、好きな人いるんだよね」