オレンジの片想い
「だって、雪葉が笑うから...!」
そう言った月菜は、怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えた。それは隣にいる咲歩も同じで、ふたりはいつもよく似た表情をするなあ、なんて思った。
"笑うな"と意味を込められたひとことを放った彼女に、わたしは微笑みかけた。
「ありがとうね。でもわたし、ただの悲しい恋にしたくない。泣いてばっかりいたくない」
月菜と咲歩には、心配をたくさんかけさせる選択だろうと思う。
「これから辛いことの方が多いかもしれない。それでもわたしは、蒼真が好きでどうしようもないの。泣いてる暇があるなら少しでも幸せな恋に近づけるように頑張りたい」
それでもこの恋を頑張ろうと決めた、わたしの選んだ道を、どうか背中を押して応援してほしい。
強く、見つめ返すと、月菜がふっと呆れたように笑った。
「そこまで言われちゃ、応援するしかないね」
「....まあ話ぐらい聞くから」
わたしはなんて幸せ者なんだろうか。
「ありがとう」
嬉しさがこみ上げて、ふたりに抱きついた。
「きもい」
「やめろ」
「えっ、ひどい」
「嘘だって」
冷静に真顔で引きはがされ、ちょっとしょげるとふたりは同時にわたしに抱きついてきた。
「おわ!あはは」
本当に、感謝しなきゃな。