オレンジの片想い
3人同時に、ばたりと床に倒れ込み、寝転ぶ。
「雪葉のおかげで酔い醒めたかも」
「あら、それはよかった」
「さっきは珍獣とか言ってくれちゃってねえ、本当。どういうつもりかしら」
「んー?なんのことかなあ?ねえ咲歩?」
「そうねえ、何言ってるんでしょう」
先ほどの雰囲気が戻ってきて、また取るに足らない話をして、笑い合った。
「....ねえ。そのさ、瀬川くんの好きな人ってどんな人なの?」
会話が一段落して、少しの間が空いた時に、咲歩が遠慮がちに話を振った。
蒼真の好きな人。小夏ちゃん。
「あたしが聞いたって顔はわからないけどさ」
「んーとね、とりあえず可愛い」
頭の中に小夏ちゃんの顔や、性格などを浮かべた。あれ、悪いとこ見つかんないな。そのくらいいい子ってことか。
「でもそれを鼻に掛けたりしないの。性格も良くて...すっごい気さくで話しやすいし、明るいし、可愛いし、もうほんと可愛いの塊!」
「へえ...あれ?じゃあその言い方からして、雪葉はその子と面識あるんだ?」
「うん。朝よく会うんだよね。ていうか蒼真に好きな人がいるって解ったの、その子と喋ってる蒼真の顔見て気づいたし」
「瀬川くんは、その子と仲がいいのね」
「そ。で、わたしはただの共通の友だちってわけよ」