オレンジの片想い

「その立ち位置、辛いやつじゃん...」



また心配そうな表情になる、咲歩。だけどね、咲歩。わたしこの位置に自分からいたいと思ってるよ。狡い勝手な考えなんだけどね。だからこんなにあっけらかんとしてられるんだ。




「確かにそうだけど、でもね。そうしていた方が、こ...その子とは違う、蒼真にとっての特別な存在になれるでしょ?」



おお、危ないあぶない。思わず"小夏ちゃん"って名前出しかけちゃったよ。


わたしはそんな、何の保証もないことに懸けているんだよ。




「だからね、応援するって言った」


「ええ!?」



異様な驚きっぷりの月菜。恐らくまだ酔いは醒めていないと見た。



「応援だあ!?そんなん辛いだけだし、できるわけないじゃん!」



...うん。醒めたって絶対嘘だな。また戻ってるよ、珍獣に。

机をバン!と音を立てて叩き、寝転んでいたところを起き上がって膝立ちになった月菜は、眉間に皺を寄せてこちらを見下ろした。



「そうだね。応援するってのは心から思えてるわけじゃない」



だって完全に下心だもの。

あわよくば、を狙っているんだ。わたしは。



「それでも何かしら行動しなきゃならないでしょ?好きな子以外ってさ、あんまり視界に入らないから、そこに入っていくためには、これくらいしか思いつかなくて」



それに咄嗟だったし。好きな子いるんだーって言われて"頑張れ"以外言えることなんてあんまりないでしょう?

利用してるし、最低な考えだってわかってるけど。
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